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ゾンビ×ミュージカル映画『アナと世界の終わり』あらすじ&感想

現在上映中の『アナと世界の終わり』を観てきました。

名作イングリッシュゾンビコメディの『ショーン・オブ・ザ・デッド』と大ヒットミュージカル『ラ・ラ・ランド』の出会いとも評されたという、この異色のゾンビミュージカル映画、どのように仕上がっているのでしょう。

ちなみにタイトルは原題の”Anna-and-the-apocalypse”の直訳なので、大ヒットディズニー映画にあやかった邦題がつけられたわけではないようです。

クマゾンビ
クマゾンビ
『ショーン・オブ・ザ・デッド』はお気に入りの映画だから、本作もたのしみだね。ミュージカル映画はあまり観たことないけど…

アナと世界の終わり:2017年

監督

  • ジョン・マクフェール

脚本

  • ライアン・マクヘンリー
  • アラン・マクドナルド

出演:エラ・ハント、マルコム・カミング、マーク・ベントン、ポール・ケイ ほか

映画公式サイトはこちら

『アナと世界の終わり』――あらすじ

舞台はクリスマスを控えたイギリスの小さな町。母を亡くし厳格な父トニーと暮らす高校生のアナは、今の生活から抜け出そうと、トニーに内緒で大学に進学せずにオーストラリア旅行することを企てていた。

高校のクリスマスパーティーの日に、その計画がトニーにバレてしまい、二人は大喧嘩。翌日、アナと彼女に密かに思いを寄せる親友ジョンは学校に向かうのだが、知らず知らずのうちに町はゾンビで溢れかえっていた。

アナとジョンは途中で合流した、映画マニアのクリス、真面目すぎる学生ジャーナリストのステフ、幼稚でオラついたニックといった、ぱっとしないのにやたらと歌のうまいクラスメイトたちと共に、仲違いしたままはぐれてしまったトニーや、学校に取り残された他の学生、家族と再開することを目指し、戦いはじめる……。

『アナと世界の終わり』感想

※以下、本編の一部ネタバレが含まれます

本作は青春ゾンビミュージカルと銘打っただけあって、何かあると学生たちが突然歌い出すという、『ハイスクール・ミュージカル』のようなティーン向けミュージカルらしい要素をイングリッシュゾンビ映画に混ぜ込んだ映画です。

それぞれのミュージカルシーンの尺が2番まで歌ったりと結構あるので、個人的にテンポが悪く感じる場面もあったり、ミュージカル中は登場人物が無敵になってしまう(それも笑いどころの1つですが)のがスリルを薄めてしまう一方で、歌っていたと思ったら急にシリアスな泣かせるシーンが来てその落差が気になったりと、正直鑑賞後もゾンビとミュージカルの相性が良かったのかが判りませんでした。

しかし登場する楽曲やダンス、音楽に合わせた演出のクオリティは非常に高く、見どころの多い作品なのは間違いありません。
主人公のアナがイヤホンで音楽を聞きながらノリノリで登校していて、背後でゾンビアポカリプスが発生しているのに気づかない、という『ショーン・オブ・ザ・デッド』オマージュなシーンはゾンビ映画らしからぬおしゃれさとバカバカしさで、このシーンのためだけでもゾンビにミュージカルを掛け合わせた価値はあったと思います。

ゾンビ映画としても意外と本格的な作りで、特殊効果の安っぽさは感じられず、ゴア度はなかなか高め。終盤は息切れ気味な印象もあるものの、中盤まではバラエティ豊かなゾンビ撃退シーンが楽しめます。

『ショーン・オブ・ザ・デッド』みたいに身近に銃がないイギリス舞台のゾンビ映画は日本人にもシチュエーションが身近に感じられて好みです。

どこかぱっとしない日常を過ごしていた登場人物たちがゾンビアポカリプスの中で成長したり、思わぬ一面を見せるようになったりするストーリーはまさにゾンビ映画の王道といった感じで、伏線や前振りとなる描写も丁寧です。その中でも日常で抑圧されてきた校長が終盤完全にイカれた悪人と化す姿は最高に生き生きとしていて魅力的でした。

ただ、アナと父トニーとのドラマはあまりにさらっと片付けられた感じであまり心を動かされませんでした。普通にはじめから娘思いのお父さんだったので、惨禍を通して特別な愛情が描かれるというわけでもないからかな。

総評すると、ミュージカル部分とゾンビ部分の両素材は本当に丁寧に作られているけど、落ち着いた仕上がりで、やはり組み合わせた相性がいいのかはよくわからないという印象の作品でした。

クマゾンビ
クマゾンビ
それでも独創的で可愛く、観れば間違いなく楽しい作品だよ
イタリアン
イタリアン
最初のゾンビが現れるまで2曲歌があるので、手っ取り早くゾンビを見たい人は我慢しよう!

あと、イケてない親友ポジションのジョンが犠牲になるのはあまりにも報われないんじゃないかというところと、反対に序盤かなり嫌な奴として描かれていたニック(終盤アナの元彼?と発覚)がちゃっかり生き残るというところはあまり好きじゃなかった。
ホラー映画の文法ではイケてるけど嫌なヤツは痛い目にあうか、改心するものの途中退場。反対にイケてないけど良いやつは最後に報われるじゃないですか…。あくまでゾンビ好きナードよりも普通のティーン向けということかもしれないけど、ジョンがかわいそうだったかな。

 

 

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