発売日に入手した『バイオRE:2』をひとまずレオン(2周)、クレアの両主人公でクリアしたので、詳しいストーリー展開には触れない範囲でレビューしたいと思います。
結論から言うと本作はオリジナル版を尊重したクラシカルなゲームながら、現代にプレイしても(いやむしろ現代でこそ?)新鮮に楽しめる最高に面白いサバイバルホラーゲームでした。
短い時間の体験版をプレイした時に感じた印象どおりの、期待を裏切らない手堅い作りとなっています。

http://kuma-zombie.com/biore2-4th-survivor/
目次
RE:2は進化したビジュアルとサウンドによる”怖い”ゾンビゲーム
これはリメイク作品である以上言うまでもありませんが、21年の時を経てよりリアルになった画質と音質で名作『バイオ2』が遊べるというだけでも本作には価値があります。
全体的な絵作りとしてはこれまた名リメイクであった『biohazard』(2002)と同様、より暗く、湿っぽい感じに。
引用元:バイオハザード2公式ページ
体験版でも感じていたことですが、暗闇や死角から突然敵が飛びかかってきたり、声(特に本作のゾンビの声は怖い気がします)が聞こえてきたりすると、シリーズファンには馴染みのあるはずの場面やクリーチャーなのにきちんと怖いんですよね。
本作の暗さと音響に対するこだわりはプレイ開始時の環境設定からも感じられます。
明るさの設定が開始時に設けられているゲームは多いですが、本作は最低輝度、最高輝度を設定してから明るさを設定する三段構え。そのおかげかプレイ中に暗すぎて不快であるとか、明るすぎて雰囲気を損ねているといったことは生じませんでした。
音響もTVスピーカー、ヘッドフォン、サラウンドなどから最適な出力を選択でき、またお好みでバイノーラルを有効にすることができます。
バイノーラルon状態でヘッドフォンでプレイすれば本当に背後から襲われるような音響効果を楽しめます。(PS4ならコントローラーにヘッドフォンを挿すだけでお手軽です)
また、主人公たち登場人物や、敵キャラクターもデザインがよりリアルにアレンジされ、現代の目で見てもかっこいいです。
1998年当時、1作目からより派手に、よりキャッチーになった『バイオハザード2』の魅力を再確認することができました。
新鮮かつ、懐かしいゲームデザイン
本作はホラーアドベンチャー/サバイバルホラーというジャンルであるため、謎解きや、消費アイテムの節約、そのための敵の効率的な攻略法の探求といった要素が面白さに関わってきます。
プレイ済みでも、初プレイでも楽しめる
そうしたジャンルである以上、あらゆる種類の「ネタバレ」によって難易度や面白さが損なわれてしまう可能性があると言えます。
その意味では、「ネタバレ済み」であるオリジナル版をプレイした人たちにとっては、本作に未知の面白さを提供してもらう必要があります。
しかし、その課題を本作は見事に達成しています。ステージの構造や、敵の強さ、謎解き、アイテムの配置を大幅に変化、ところによってはほぼ丸々一新することで、常に新鮮なプレイ感を与えてくれます。
私はオリジナル版を何度もプレイしたことがありましたが、「この敵はこう倒せるはずだ」と挑んだ敵に簡単に敗北したり、「今回はカットされてしまったのかな」と感じていた要素が後になって別の形で登場したりとワクワクし続けられました。
プレイ済みの人は次はどう変化させてくるのかという点からも楽しめますし、逆に『RE:2』からバイオ2に触れた人がオリジナル版をプレイしてみたくなったときにも驚きを保つことができます。
快適かつ、手強い秀逸すぎるレベルデザイン
体験版の時点でわかっていたことですが、操作性はオリジナル版より快適にアレンジされたといっても、あくまで本作はガンガン戦うというよりは残りアイテムや体力を気にしながら慎重に進むのが楽しい、懐かしのサバイバルホラーゲームです。
本作は難易度が「アシステッド」「ハードコア」の3つから選べるのですが、このハードコアが今時のゲームとしてはかなり難しい!しかし、負けるたびに再挑戦して、クリアを目指したくなるような難易度調整が絶妙だったのです。
ハードコアモードの一番の特徴は、まさに古いバイオシリーズのようにセーブをするためにインクリボンという有限のアイテムが必要となる点。現代のスタンダードであるオートセーブをわざわざ排除してくれます。
しかも、オリジナル版と比べてもインクリボンの数がかなり少なくなっています(実は「旧2」はむしろシリーズでも簡単な部類でした)。
そのおかげで「ゲームオーバーになったら結構前のセーブからやり直しだけど、今セーブしちゃったらもうしばらくセーブ出来ないかもしれない…」というジレンマを存分に味わえます。
また、セーブチャンスが少ないだけでなく、敵の攻撃も容赦ありません。
具体的には普通のゾンビに2、3回噛まれるだけで体力はDanger(ゲームオーバー一歩手前の状態)に。強敵によっては一撃でそこまで追い込まれます(最初に遭遇するゾンビにひと噛みされてDangerになったのは驚きました)
さらに敵のタフさもオリジナル版とは比べ物になりません。
ゾンビは射撃による頭部破壊が発生しない限り何度も復活します。
オリジナル版から引き続き登場する強敵であるリッカーは、かつてはショットガンのような強力な武器によって対応可能でした。しかし、本作においてはショットガンではなかなかひるまず返り討ちにあうことすらあります。
そのため、リッカーとの戦闘を回避してやり過ごさねばならないこともままあります。このリッカーの配置も絶妙にいやらしく、何度も通るエリアにずっと強敵が居座っているという状況が恐ろしく、また面白いのです。
そして当然、タフな敵の相手をしていては弾薬が不足してしまいます。本作のハードコアモードでは序盤、終盤を問わず一つの局面をくぐり抜けたら手持ちの弾薬が空になっているということが珍しくありません。
救済措置として弾薬が無限に手に入るようなポイントもありませんので、プレイヤーによっては2019年のゲームなのに途中で完全に詰む可能性があります。セーブは上書きせずに複数とっておくと良いでしょう。
もちろん強敵を相手にフラストレーションを溜めるばかりではありません。本作ではオリジナル版同様、主人公毎に異なる個性豊かな武器を使って恐ろしい敵を討ち倒すという、バイオシリーズのもう一つの魅力も充実しています。
オリジナル版では男主人公レオンでのみ可能だった武器のカスタムは、クレアでも可能になり、また武器によってはパーツが複数追加できるものもあります。強化パーツを探すアドベンチャーの面白さと、それによって強敵にリベンジするシューティングの爽快感がうまくはまっています。
探し集めた装備で恐ろしい相手に挑むサバイバルホラーの面白さを支えている、難易度のバランス調整も上述したように絶妙です。本作では初見のプレイヤーがミスをしながらも、かなりギリギリで強敵を突破できるように作られているので、どのようにここまで調整したのかと驚きました。
私の初回プレイではラストボスに勝利したとき、強力な武器の弾と回復アイテムが全て底を尽き、あと一撃でゲームオーバーという状態でした。シリーズ全体でもここまで追い込まれたことはありません。
もちろん本作はシリーズマニアにしか楽しめないような理不尽なゲームではありません。
難易度「アシステッド」を選択すれば、照準を自動で補正してくれたり、一定量まで自動で体力が回復したりする救済措置もありますので、バイオシリーズを初めてプレイする人やアクションが苦手な人でも楽しむことができます。
現代的な派手さに頼りすぎない名リメイク作品
個人的に最も素晴らしいと思うゲームとは、ちょうどいい歯ごたえのために、地道にステージや難易度の調整を繰り返したであろう職人技が光っているようなゲームだと思います。
どこまでも広がるステージがあるわけではない、どんなことでもできるような自由度があるわけでもない。
それなのに本作は何度もやり込みたくなるような昔のバイオハザードらしい骨太なゲームに仕上がっています。これはいい意味で最近のゲームにはそう多くないタイプだと思います。
本作は、これまで古いバイオハザードシリーズを敬遠してきたような人にとっては経験したことのない面白さを味わうことができるし、かつてプレイしていた人にとってはよりリッチな演出と、現代的な快適さで、好きだったゲームの魅力を再び味わうことのできる名作ゾンビゲームでした。
また本作をプレイしてみて、こうした堅実な作りの作品が現代で新作としてリリースされても楽しめるのだということが明らかになったのも嬉しかったです。
この調子でオリジナル版2と似た作りだった『バイオハザード3』のリメイクも期待したいですね。
オリジナル版同様クリア後に1周目とは異なる展開を見せる2ndシナリオがプレイできたり、ゲーム内の様々な課題を達成することでキャラクターのフィギュアやコンセプトアートが入手、閲覧できたりと遊びごたえも十分です。
文句なしにおすすめの一本です!
おまけ
トレーラーでもアナウンスされていましたが、2ndシナリオをクリアすることでエクストラゲーム「4th Survivor」をプレイすることができます。
これもオリジナル版以上に難しくやりごたえ抜群ですが、なんとかクリアできたので攻略のポイントを次回書こうと思います。
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